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2024/04/26 02:36 |
クリスマスネタ




凄い本当に間に合った!
昨日寝る前に思いついて携帯に断片的に打ち込んだネタですが
どうにか体裁だけは整えられたので日記にてこっそりアップ。
だって普通にアップするには短すぎるんだぜ……。

名前呼びはないようにしたので大丈夫です。
でも今読み返したら普通に一つ名前を呼ばせてて慌てて削りました。

これから白ららを食べながら羊たちの沈黙鑑賞会です。
カゴ盛り白らら超美味いんだぜ!
やのあさってにヒナのとこ行くから手土産にしようと思ったら二時間でアウトらしいので断念。

というわけであと数時間しかないうちのばあちゃんの誕生日、別名クリスマスですが
続きを読むから微妙な小ネタがあるので楽しんでいただけたらヒャッホウです。
















***************************************************************************************





 

「そういやさー、みんないつまでサンタ信じてた?」
「いねぇよ」
話題を振って三秒以内で終了させようとする跡部の実力は凄いと思うけど絶対誉められる凄さじゃないと思う。

これが全然関係ない日に振った話題ならあたしも納得して引き下がる可能性も極僅かにあったかもしれないけど
クリスマス当日にクリスマスらしい話題を振ってなんでこうもぶった切られなきゃいけないんですか。


「うん、まぁあんたはいいや、なんか想像出来るし下手にリリカルな話題振られたら絶望しそうだから」
「あー」
「あー」
これで微笑ましい話題が跡部の口から飛び出てきたら夜中魘されそうだし、と付け加えたら
みんな凄く納得してくれたようで妙に神妙な顔で頷いていた。
やっぱそうだよね。
多分あたしは間違いなく汗だくで飛び起きる気がする。
「テメェらどういう意味だ」
「お前の場合、サンタの存在を説明された瞬間鼻で笑い飛ばしそうやからやないか?」
「そういうテメェは最近まで信じてたみてぇな顔してるよな」
フォローになってないフォローを入れた忍足に苛立ちをぶつけるように跡部が毒づいた。
その毒づいた方向に少し引っ掛かる事があったのであたしはそっと二人の間に割り込んだ。
「跡部跡部」
「なんだよ」


 

「その話題の詳細って跡部興味ある?」

あたしは敢えて忍足の目を見ながらはっきりと割と大きめな声で跡部に話を振る。
もちろん今あたしが満面の笑みを浮かべているのは言うまでもない。
「お前何知っとんのやー!」
その表情で全てを悟った忍足に絶望50m手前みたいな表情が浮かぶ。
「この前さー、宿題合宿したときにあんたと岳人がコンビニ行ったじゃん。居眠りしたあたしを置いて」
声をあげて笑いたいのを我慢し、あたしは頑張って答えた。
今気を抜いたら本気で指差して笑いそう。
マジで。
「あの時か!あの時おかんから聞いたんか!!」
「さぁ跡部、しばらくネチネチチクチク出来ることは確定してるネタですがどうですか」
「……聞いてやろうじゃねぇか」
もちろん、跡部がこんな状況を逃すはずもない。
あたしと比べるのも申し訳なさすら感じるほどに悪そうな顔で跡部があたしの話に食いついて来る。
そうでなきゃ跡部じゃないよね!
「お前らどんだけ性格が悪いんや!!」
「忍足」
「なんや」
「あたしは天使じゃなくて堕天使だと言いたい、と?」
「お前の前向きさは別のことに発揮しろやー!!」
自分が隙を作ったのが悪いのに何故かあたしを非難する忍足。
こういうの責任転嫁とかって言うんだと思う。
良くないよ、全然良くないよ。

 
 


「俺ね俺ねー!小1のクリスマスの時に夕飯食べてる最中に普通に渡されたー!」
「凄い台無しっぷりだなお前のサンタ人生」

元気良く人によってはショックがでかそうな思い出を語るジローちゃん。
多分おじさんがサンタやるの面倒くさくなったんだろうなぁ…。
なんかその時の情景が想像できて微笑ましいやらなにやらで微妙に暖かい気持ちになる。
ジローちゃんが気にしてないならいいじゃない!みたいな。
「宍戸は?」
「俺も同じくらいに誰かに激バラされた気がすんなー」
「大体みんなそうだよねー」
なんとなく疑ってる状態でサンタがいないことに気付くか、
いきなり存在を否定されて現実を直視せざるを得ない状況に追い込まれるかの違いなだけで
サンタがいないってことを知るパターンは大体みんな似てるんだと思う。

「俺は幼稚園かな、夜中に目が覚めたら父さんがちょうど俺の枕元にプレゼント持ってきててさ」
「あー俺もそうだわ、なんかもうちょっとバレねぇように忍びこんでほしかったよな」
「岳人も自分で気付いちゃったんだ」
「俺だけ気付いたのムカつくし弟も起こしてやったんだけどさ、そっちのがすんげーウケた」
さりげなく酷い体験を暴露していつ見てもフォローのしようがない顔で岳人が笑っている。
本当邪悪な笑い方だよなぁ……。
「ねぇ忍足…。あんたの相方が新世界の神みたいな悪い顔で笑ってるんだけど
「凄いやろ、今あいつ心の底から笑うてはるからな」
「前から思ってたけどあんた達はお互い誉める場所が全力で間違ってるよ」
妙に誇らしげな忍足をそのまま放置しておくと全然関係ないときに
あたしが苦労しそうなのでとりあえずツッコミだけは入れておく事にする。
コンビ同士の仲がいいのはいいことだと思うんだけど、この二人の場合なーんか斜め上な気がするんだよね。
「それがダブルスってもんや」
「うん。その発言は全力で真面目にテニスしてる全国のダブルスへ真剣に謝らなきゃいけないと思うんだ」
「まぁほら、岳人と忍足はなんていうか特殊だから……」
宥めるようにあたしよりも遥かに酷い発言をする滝。
そっと話題に加わってとどめを刺していくその手法をいつか見習いたい。
「お前も目の前で暴言を吐くんやないわ」
「暴言じゃなくて事実だと思うんだよ」

 

 

 




 


「おはようございまーす!」
「ウス」
「……おはようございます」

あたし達が仲良くギスギスとサンタ談義をしていた最中、珍しく二年生が揃って部室に顔を出した。
本当珍しい。
特に日吉。

「なぁなぁ鳳」
「なんですか?」
「お前いつまでサンタ信じてた?」
何歳までサンタを信じてたのか統計出してみようぜ!という話になったのか
ちょうど部室に現れた長太郎にさっきあたしが皆に投げかけた質問を長太郎にぶつけていた。
「なんか実はまだ信じてそうだよな」
「ちょっとそれは流石にないでしょー」
「流石にねぇ」
部活の準備をしながらあたし達はのんびりと笑う。
そもそも誰しもが浮かれるはずのクリスマスの話題で殺伐する話題なんてあるわけないし、
今年のケーキはチョコレートだーとか何買って貰おうかなーとかそんな暢気な話題を各々広げていた。


そんな中。

 

 




「え?」

 

 

 

 

 

「…………え?」


岳人の質問に対して長太郎が取ったリアクションにより、嫌な空気が部室の中を一瞬で蔓延した。


『まさか、長太郎……!!』


気付けばあんな和やかだった部室の空気はもうどこにもなく
誰も何も喋っていない妙に居心地の悪い空間に様変わりしていた。
物凄く不思議そうな顔をしている長太郎と、お前がどうにかしろよ的な視線で責任を押し付けたいあたし達。


「……日吉」
「巻き込まないでください」
数十秒の沈黙の後、困った岳人が日吉の名を呼べば当然の如く拒否られる。


ですよねー。
これで日吉が「わかりました!」とかやる気満々だったらそれはそれで怖い。


「そんなら樺地」
「メガネ、テメェ何勝手に樺地に命令しようとしてんだ」
「今はそういう話やないやろ!」
ヒソヒソと話してるつもりの大声でいらない喧嘩を繰り広げる跡部と忍足を眺めていた長太郎が
何か思いついたのかとても残念そうに「ああー……」と呟いた。



 

「先輩達のお宅ってもうサンタさんこなくなっちゃったんですね……」



「……何だその残念そうな顔は」
凄い。
予想外の発言に跡部の暴言が少し優しい。
凄い長太郎、あの誰にでも平等に酷い跡部を手加減させるだなんて……!



「な……なぁ長太郎、良く考えろ?世界中のガキに毎年毎年物配り歩ける爺さんがいると思うのか?」
「そうそう、見返りなしでプレゼント配る爺さんとか絶対おかしいだろ?」
岳人や珍しく宍戸までもが加わり長太郎にサンタの存在を理解させようと必死になっている姿を見て
『テニス部って後輩を思いやる気持ちが強いんですね!感動しました!』とか言った方がいいんだろうか。
ツッコミどころが巨大すぎてあたしはもちろん忍足までもがどう突っ込んでいいのか頭を抱えている。
 

「だから地区ごとに担当のサンタさんがいるんですよ?え、先輩達って本当に知らないんですか?」


そんなあたし達の苦悩も気にせず長太郎はいつも通りに元気良く明るい声で予想外の返事をしてきた。
「はぁ?!」
「岳人、朝にはふさわしくないドスのきいた声出さないで」
「今のアレだろ、殴ってもいいですよっつー意味だろ」
せっかく説得したのに全力で流されたのがアレだったのか、岳人は凄くどこかの誰かを彷彿とさせる発言を繰り出してきた。
「そういう斬新な解釈するのは跡部くらいだと思ったらお前もかー!」
「テメェどういう意味だ」
何か心当たるフシがあったのか跡部が絡んでこようとしたとき、部室に更なる混沌が投下された。



「先輩……サンタは、…います」



「樺地までー!」
「嘘やろ樺地ー!!」
ショックを隠しきれない声をあげるあたし達とは正反対に、
さっきの長太郎への困惑はなんだったんだとツッコミたくなるくらいにふてぶてしい顔で跡部が追い討ちをかけてきた。


「当たり前だろ、樺地にはお前らと違って毎年毎年ちゃんとサンタが来日してんだよ。なぁ、樺地」
「ウス」

 


樺地がサンタを信じていると言う事実。
そして、跡部が何故か誇らしげな表情をしているという事実。
この2つを目の前にしたあたし達の脳裏に凄くご機嫌で残念なクリスマスが過ぎる。


ただ、あまりにアレすぎて直接口に出すのも少々躊躇われて、誰も何も言えない。
だって……ねぇ。
流石に跡部でもそんな事……。
いやいやいやいや。
脳裏に浮かんだクリスマスを否定したくても一向に否定し切れない。

 


「…………あたし今、物凄い金の無駄遣いを想像した」
「俺も似たような光景が想像したわー」
「なんつーかスケールの違うバカってすげぇな……」
「おい、絶対詳細とかツッコむんじゃねぇぞ」
それはみんな同じだったようで口々に同意見であるけど言葉にしたら
つっこみどころ満載の世界を垣間見てしまう気がして誰もはっきりとは言えなかった。


 

「とてもじゃないが、こんな茶番付き合ってられませんね」
あたし達がこんな困っていると言うのにくだらないと言わんばかりの態度を取る日吉。
相変わらず日吉は団体行動というものがわかってないなー。

わざとらしい溜息を吐いて部室から離脱して練習に出ようとする日吉に何か言おうと思ったら長太郎が日吉の前に立ちはだかった。
まさかの展開に喉まで出かかった言葉が速攻で引っ込んでしまう。

「日吉はそんなこと言うけどさ、ちょっとは考え方とか変えてみてよ」
「は?」
「例えばさ、サンタクロースって考えるんじゃなくってさ
世界各地に出没する特定の日に子供にだけ接触を図る
赤い服を纏った正体不明の老人
って考えるとちょっと日吉好みの設定じゃない?」
 

面倒くさそうな顔で長太郎の話を聞き流そうとしていた日吉の表情が一瞬止まる。



その日吉の表情の変化でなんとなく嫌な予感があたし達全員に広がった。


…………まさか長太郎がその手段を使うとは夢にも思わなかった。
あたし何か知ってる、こういうの知ってる……!!

 

 



みんなが日吉の動向を見守る中、しばらく考えこんだ日吉は口を開いた。

 


「……まぁ、サンタの一人や複数どこかに居るかもしれないじゃないですか」






やっぱりぃぃぃぃーー!!!


 




 

「激裏切りやがったー!」
「マジすっげー!!日吉寝返ったー!」
「まさかの寝返りやー!」
「クリスマスの奇跡だね……!」
「やるねー……」
「鳳……お前やるようになったじゃねぇか…」

予想外と言うか予想通りと言うか、お前わりと扱いやすいだろ的な感じな気がしないでもない
日吉のまさかの長太郎側への華麗な寝返りにあたし達は口々に驚愕の声をあげた。
長太郎すごーーい!!
どうやらあたし達の知らない間に後輩達は着実に成長しているようです……。


そんな後輩の成長に驚いたり感心したりしつつもクリスマスの朝に突如発覚した
二年生と三年生の間にある埋めようのない溝をひしひしと感じるあたし達だった。




でもサンタってそこまで必死に信じなきゃいけないもんだったかなぁ……。

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2009/12/25 20:47 | 小話

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