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2024/05/03 01:37 |
焼肉の王子様
書くなら今しかないと勢いで書きました。
展開がおかしくても捏造だと言い張るつもりです。
ドリじゃなくてもよかったんだろうけど、そこはホラ、一応ドリサイトだから。






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焼肉。
何で焼肉をみんなで行くのか未だによくわからない事ではあるんだけど、
焼肉に誘われてアッサリと断れる程あたしは鋼鉄の意思を持っていないわけでして。


都内某所、肉々苑。
値段の割りに美味しいと宍戸か岳人が言っていた気がしないでもない、
そんな店があるという最寄り駅前が集合場所だったわけだけど。


跡部と樺地がこない。


盛大に集合時間過ぎてますよコンチクショー!!
そもそも固まって一緒にいたんだからなんでわざわざバラけたのか納得いかないっつーの!
お腹が減っていらいらしてるとか全然そういうんじゃなくてね!
本当!
お腹減ってるけどそういうんじゃないから!

集合時間をまったく気にしない遅刻っぷりに軽くイライラするあたしを筆頭に
いい加減お腹が減ってきて団体行動を守ろうとする気持ちすら根こそぎ奪われた様子の
団体行動をという概念自体存在しないんじゃないかと思われる男子数名。

「ジロー!岳人!お前ら何カップヌードル食っとんの!」
「コンビニで買ってきたからに決まってんだろ!」
「決まってんだろ!」
「歩き食いすな!行儀悪いやろ!!」

妙に良い匂いを漂わせつつ不満そうな声とどこかずれた指摘があたしの耳に届く。
大方、我慢できなくなった二人がコンビニに突撃かけて
焼肉の前の下準備的にカップラーメンを半分っこつにしているんだろう。
そこへ往来でラーメンを食べているツッコミどころ満載の事よりも
何故か歩き食いをしている行儀の悪さを忍足が指摘しているという
焼肉会が始まる前から既にカオスな状態になっていた。

「お腹減ったね!俺焼肉って初めてなんだ!!トントロって魚じゃないんだよねぇー」と
無邪気に話しかける長太郎を先ほどから軽やかにシカトしっぱなしの日吉が
なんとも不愉快そうにあたしの後方へ視線を向けていて
本当振り向いて状況確認したくない気持ちでいっぱいです。

誰か三人を止めてくれ…!と思って滝と宍戸へ助けを求めようとしたら
忍法・俺達は関係ありませんよ他人のフリの術を使って
微妙に距離を取った場所で世間話なんかしていやがるし……!!
他人のフリしたとこで同じ制服着てる時点でどう考えても身内か知り合いです。
どいつもこいつも頼りになりやしない!!
元はといえば時間を守らない跡部が悪いんじゃん!
樺地は絶対跡部に付き合わされてるだけだろうしさー。


そして待つこと30分。
炊き立ての白米が食いたいとか言い出し始めた岳人を宥め賺せていた
あたし達の前に見慣れた黒塗りの高級車が止まった。
「きた!!」
「おっせぇーよー!もぉー!!」
「これを30分も、と取るか30分程度で済んだ、と取るかだな」
「日吉やめなよ、そういう事言うの」
口々に文句だかなんだかわからない言葉を口にしながら跡部宅の車へ近寄った。
この場を取り仕切る身としては一言文句言わないと気が済まない。
むしろこのあたしを30分以上待たせるとは何様のつもりなんだっつーの!


「あんたねぇあたしを待たせるとは良い度きょ………」


車のドアが開いたのを見計らってお説教をしようとしたものの。
中途半端なところまで出た言葉が止まる。







髪が、生えてる。


「ああ?テメェなんか文句あんのか」
「や、文句っていうか、…………なんて言うか、その…」
ギロリとメンチを切る髪の毛が生えた跡部にどう反応したものかと
周囲へ視線を巡らせると誰もが唖然として跡部の頭部を凝視していた。
そして、跡部に続いて車から降りた樺地の髪の毛も同様の化学変化を起こしていた。
なに、なんなの、そのケミストリーは。
何がどう結合したらそんな状態になるの。
驚きすぎて日吉の目が1.5倍になってんだけどそれもどうなの。

「その……あんた一体ど…………っわ!!」
思わず状況説明を求めようとした瞬間。
力任せに首根っこを掴まれ跡部と樺地から微妙に距離を取った場所へ引きずりこまれる。

 

「バカかお前!直球で聞いちゃまじーだろ?!」
「激不味いっつーの!空気読めよ!」
有無を言わさず取り囲まれて一斉に文句を言われる。
小声で。
チラチラと横目で跡部を見ながらあたしに文句を言うのってかなり高度な技だよね。
あたしも跡部の頭から目を離せないわけですが。
「だって!目の前にアレが現れたら聞かざるを得ないでしょ?!」
「だってもクソもあるか!お前はアレか、将来テレフォンショッキングに呼ばれて
タモさんに「それは帽子ですか?」とか聞くんか?!
「小倉さんになら聞きたい」
「それは俺だって激聞きてぇよ!!」
「でしょー?!」
「でしょ?じゃねぇよ!アレどうすんだっつーの!」
さりげなく現実逃避をしようとしたのに岳人が盛大に話題を引き戻す。
岳人はたまに物凄く現実を突きつけてくるから困る。
「どーすんだって……ねぇ」
どうにかしろ、と言われて早々に結論が出る問題でもない。
お互い顔色を伺いながらモゴモゴと口ごもる。
「そっとしといてやった方がええんやないの?」
「俺むしってこよっか?」
なにか恐ろしい手つきをしながら跡部の頭部を凝視するジローちゃん。
物凄くやりかねない。
「ジローちゃん、それは色々怖いからやめて」
今本気で止めないとジローちゃんは絶対に行動に移す。
「えー」
流石にそれが一番手っ取り早いんだろうけど、人としてなんとなくやったらいけない気がする。
「俺は見なかった事にした方が言いと思うんだけどねー」
滝(やっぱり視線は跡部)がのんびりとあたし達の気持ちを代弁したかのような案を口にした。
目配せをしつつ、他の解決策がないか考えるものの結局それ以上に適切な案は思い浮かばなかった。

 


「…………滝の案に賛成」


目配せをして誰も異論がない事をお互い確認する。
ああ、事なかれ主義万歳。
今、この場ではその選択肢が一番無難なんだと思う。
多分。
とりあえず突っ込まざるを得ない状況になった時、誰かイケニエを決めてツッコミを入れさせよう。
あたし達はそう結論付けてとりあえず焼肉へ突撃する為、目先の異変には目を背ける事にした。
何も見ていない。
あたし達は悪くない。
悪いのは跡部だ。

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2007/04/18 01:04 | Comments(0) | TrackBack() | 小話

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